農業コラム

  • 日本農業
  • 2021年06月07日

【日本農業の現状と未来⑬】第4章:農産物の輸入 その5

第13回 国別農産物輸入量 穀類

皆様、こんにちは。
西日本のみならず東海地方までが5月中旬までに梅雨入りするという今年。統計では梅雨入りが早まった場合は梅雨の期間が長くなるようです。
ただ、梅雨明けも早くなるだろうことが予想されていて、その後の夏は長くなるようです。
まだ、マスクが外せない鬱陶しい時間が長くなることは嬉しいことではないですね。
新型コロナワクチンを全国民が接種完了しなければマスク着用は続くのでしょうね。早く、マスクの無い生活に戻りたいなと思います。

今回は穀類の国別輸入量を見ていきます。
ここまで書いてきて今更ですが、野菜編が終わるとなんとなく憂鬱になってしまいます。
さぁ、張り切って参りましょう。

小麦の輸入状況

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「農林水産物輸出入統計」
   (https://www.e-stat.go.jp/)

国内生産量は約67万トンです(第4回 表4-5)。輸入量はその約8倍 533万トンにものぼります(表13-1)。
すでに日本での小麦生産の現状については述べてきましたので(第4回 農作物の生産量推移 米と小麦)ここでは割愛します。
輸入量第1位はアメリカです。アメリカは全世界で小麦の生産量が第4位です(表13-3)。その内の5%を日本が輸入していることになります。

アメリカの米の生産量は837万トン(出展:USDA, National Agricultural Statistics Service. 2020年1月)ですから、米も5%輸入するとなると41万トンとなり、MA米の53%を占めることとなってしまいます。米の輸入はやっぱり問題が多いですよね。

話を小麦に戻しましょう。
中国やインドは人口が多いので、「小麦は日本に輸出させられない。」というところでしょうか。
ロシアは中東・エジプト・トルコ・イラン等が主要輸出先です。もっとも2020年は新型コロナウイルスの影響で自国を優先して輸出制限をかけました。ウクライナやカザフスタンの旧ソ連国も同様な動きを見せています。
2020年の統計は表13-1とは違ったランキング・数字になるはずです。

生産量ランキングベスト10にオランダが入っていませんね。
オランダの小麦の生産量は約130万トン。日本の約2倍です。
農業大国オランダと言われますが、国土が狭いと穀物生産は大規模化ができなくて採算が合わないことは日本に似ているのです。

出典:外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/wheat.html)

小麦粉の輸入状況

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「農林水産物輸出入統計」
   (https://www.e-stat.go.jp/)

ちょっと目線を変えてみました。小麦粉です。
輸入された小麦は加工され、パンやパスタになります。
小麦は小麦粉になってからそれらに加工されます。ならば、小麦と小麦粉の輸入量ランキングは同じ傾向になるかと思いきや全く違いました。もっとも輸入量が桁違いで総量が小麦の0.07%ですから当然と言えば当然かも。
ただ、イタリアについてだけは小麦粉は小麦の854倍の量を日本は輸入しているのです。イタリア産デュラムセモリナ粉のブランド力恐るべし。実はデュラムセモリナ小麦を製粉すればいいだけなのですが、コスト・歩留まりを考慮すると小麦粉での輸入に利があるようです。
このコラムにはあんまり関係ないのですが、ちょっと一服の意味とブランドの良い例と思いましたので書いてみました。
スペイン産豚肉がイベリコ豚ブランドで日本の輸入量が増加していることと似た傾向ですね。


次は大変だぞ。

とうもろこし

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「農林水産物輸出入統計」
   (https://www.e-stat.go.jp/)

第9回 表9-1にて農林水産物の輸入実績を表しました。
輸入金額でのランキングでとうもろこしは4位なのです。しかし輸入量でランキングを並べ替えればぶっちぎりのトップ、小麦の約3倍の量が輸入されているのです。
第8回 飼料の供給量推移で書いたように、とうもろこしは牛のための濃厚飼料です。2011年の輸入濃厚飼料は17,134千TDNt(表8-5)、その数字から推測すると表13-8はほぼ飼料となったと考えることが妥当でしょう。
しかもその子牛も生体牛として輸入されているのです。輸入国別の正確な数字を調べましたが統計が出てきません。オーストラリアからは年間1万頭程度の肉用牛を輸入しているようです。


出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/kenkyu/n_h1601/index.html)
              (https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/bukai/h1902/index.html)
              (https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_hosin/attach/pdf/index-583.pdf)

表13-8の数字から追えば2019年 肥育牛155万頭の内、0.6%ですがオーストラリアから輸入された生体牛となるのです。
とうもろこしと牛肉は切っても切れない関係です。というよりもアメリカからのとうもろこし輸入が(あり得ないけど)ストップした場合、日本国内での牛肉生産(乳製品生産も)成立しないと考えることが妥当でしょう。
何度もしつこいくらいに書いてますが、カロリーベース総合食料自給率を上げることは国産飼料を増加させるしかない。
米をそれに当てるとするならば、現在の約3倍まで生産量を増やすしか方法がない。
現実、粗飼料として飼料イネを水田転作作物としているのです。濃厚飼料用米を増産すれば粗飼料イネが減少するでしょう。
つまり、とても難しい問題なのです。

大豆

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「農林水産物輸出入統計」
   (https://www.e-stat.go.jp/)

アメリカからの輸入が総量の73%を占めています。
第4回で書いた通り、油糧用に70%が消費されています。大豆製品も輸入がなければ成立しない食品です。


いかがでしたでしょうか。第4章は今回にて終了となります。
第2章から第4章までで、カロリーベース総合食料自給率を上げることがいかに困難なのか分かっていただけたでしょうか。

私が営業であった時から今でもずぅーっと農業には補助金が(何らかの形で)出ていました。農業の保護が目的であることは間違いないのだけれども、農業の危機(?)とカロリーベース総合食料自給率を結びつけて考えた場合には「この補助金のあり方は正解なのだろうか?」と考えてしまいます。

ここまでの資料でも農林水産省からのデータが多かったですが、財務省や総務省、税関、はたまた国連の発表資料も引用させて頂きました。
食料について考えるときには農林水産省のみで考えても無理が生じていると思われます。各省庁ではその役割に準じて仕事をするけれど、全ての繋がりから考えなくてはならないのではないでしょうか。
濃厚飼料ひとつを例にしても全て国産化すれば農水省はOKかもしれないが、財務省、外務省の立場として考えるならばそれは難しいことであるのでしょう。

次回から、テーマ「第5章:日本農業を取巻く環境」を掲載していきます。政治的な部分にも踏み込まなくてはなりません。

これまでよりもっと「お前、間違っている。」という声が出るでしょう。
ここまでで「もう、うんざり。」という方々もいらっしゃるのではないかと思いますが、最終章となります。
是非、最後までお付き合いをお願い致します。

それでは皆様、お元気で。