農業コラム

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  • 2021年01月06日

【日本農業の現状と未来④】第3章:農産物の生産量 その1

第4回 農作物の生産量推移 米と小麦

皆様、あけましておめでとうございます。

2021年になりました。コロナウイルスに勝利する年になることを祈っています。
しかし、残念ながら首都圏の4都県には再度の「緊急事態宣言」が発令されます。高校サッカー選手権は無観客になり、あちこちの成人式式典も中止や延期、はたまたリモートになる。学生の受験はどうなるのか?ワクチン接種の開始は何時なのか?

決して不安を煽っているのではありません。本当に「緊急事態宣言」が全国規模にならないことを願っております。

波乱の年明けですが元気に参りましょう。

本コラム第4回は、日本の農産物の生産量推移から農業を見つめていきましょう。
今回も表とグラフばっかりで楽しくはない回になりそうですが、どうぞお付き合いください。

農業総産出額の推移

出典:農林水産省Webサイト
   (https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h/trend/part1
   /chap3/c3_01.html?newwindow=true)

農業総産出額のデータです(表4-1、グラフ4-2)。

連載第2回に示した年齢別基幹的農業従事者数は1980年 約413万人、2010年には約205万人と50%以上減少しています。
それに対して農業総産出額は年度が違いますが、1980年 102,625億円が2008年(概算)84,736億円へと減少していますが、1980年と比較して約82%を確保しています。
農産物の物価変動までは見ていませんが、それでも「農家は頑張っているな。」というのが私の率直な感想です。

また、畜産の比率が30%程度で推移していることにも注目します。このデータは金額ベースですから、重量単価の高い品目であればその生産量が少なくても生産額の水準はある程度は維持できていることを示しています。

麦類はその他に含まれるのですが、いも類もその他であることから生産量は少ないのだろうことも推測できます。詳しくは個々の作物で見ていきましょう。

出典:農林水産省Webサイト
   (https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h/trend/part1
   /chap3/c3_02.html)

米は国内消費量を国内生産量が下回ることはほぼありません(第3回にて記した1993年「平成の米騒動」を除く)(グラフ4-4)。
作付面積は1980年を100とした場合、2009年は約69%まで減少しています。生産量は1985年(データでは最大)を100とした場合、2009年は約73%と健闘していると見ていいのではないでしょうか。
それは単位面積当たりの収量(単収)が増加していることが理由と考えられます。
ただし、米価は下落傾向なので米農家の増収はないと考えられます。

小麦

出典:農林水産省Webサイト
   (https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h/trend/part1
   /chap3/c3_02.html)

米と比較して作付面積の単位も生産量の単位も変わるほど日本では小麦が作られていない(表4-5)。
第3回にて掲載した品目別自給率において1965年 28%、2018年 12%という数字からも国内生産量は少ないことは分かっていました。

日本では米が主食であるため、麦を生産する必要性は高くなかったことは間違いないでしょう。しかし、食文化の多様化で小麦製品(パンや麺等)の需要が高まれば国内生産量もそれなりに増加するでしょう。ですが、それ以上の消費が発生すれば自給率は下がる。なぜならば不足分は輸入に頼るしか方法がないから。
現在、北海道が国内小麦生産量の第1位です。しかし、元々北海道では麦作は普及していなかったのです。高度経済成長の中で都府県においては(サラリーマンとの)兼業化が進み、農業経営上副次的(要は米の二毛作)な麦作の放棄の傾向が強まったことが考えられています。

確かに表4-5においても田と畑になっており、畑が10ha当たりの単収では田を上回っている傾向となっています。
1980年ころからは北海道での麦作が普及していくのでした。そこからは横ばいに近い形で作付面積・生産量が推移します。

この後にも書いていきますが、輸入品の単価も麦作が増加しない理由です。小麦の輸入量は約500万トンであり国内生産量の7倍以上にも昇ります。
理由は単価が安いからです。その内の約250万トン(50%)は米国からの輸入なのです。貿易のバランスからも小麦を輸入せざるを得ないことは容易に想像がつきます。米国との貿易摩擦を考えたときに小麦の輸入は必然なのです。


上表にて説明のつかない部分があります。1995年の作付面積及び生産量です。
先に記したように都府県での生産量の減少が小麦全体の生産量減少の要因です。しかし、1995年がその数値が非常に小さい。1993年の冷夏の影響を受けて稲作転換しているのかとも考えましたが、1995年の水稲作付面積が急上昇している訳ではないのです。
考えられる要因としては阪神・淡路大震災の発生です。地震が大きな影響を及ぼしたのではないでしょうか。
この部分については今後も資料確認をしていきます。申し訳ありません。

大豆

出典:農林水産省Webサイト
   (https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h/trend/part1
   /chap3/c3_02.html)

大豆を取り上げた理由は自給率が2018年 7%と小麦よりもその数値が低かったからです(第3回 表3-6)。
表4-7の注にあるとおり、農林水産省も小麦同様2007年以降10a当たりの収量は田畑別に調査を行っていない作物となっています。

2018年の大豆輸入量は323万トンで国内生産量22.7万トンの約14倍となっています。
輸入大豆は油糧用(食用油等)に70%、食用が30%です。油糧用種子は大豆の他、菜種・綿実・ひまわりの種・落花生などがありますが、世界の油糧用種子生産量5億トンのうち大豆が過半を占めています。
豆腐などで国産大豆100%といううたい文句を見たり聞いたりしますが、日本で消費される食用大豆のうち国産は約20%にすぎないのです。

大豆は農業従事者の減少とともに生産量が減少、1961年の大豆輸入自由化などもあり1977年までこの傾向は続きました。1978年から生産調整が拡大され上表のような推移となりました(表4-7 グラフ4-8)。
大豆も1995年のデータについては阪神・淡路大震災の影響ではないかと考えられます。
国産大豆の種まきの時期は5-7月ですので、震災後に作付できなかった地域が多くあったと考えられます。

第4回はこれにて終了です。次回はこの続き、その他の農産物の生産推移を見ていきます。

それでは皆様、また次回お会いしましょう。次回も読んでもらえたら嬉しいです。