いちご日記

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  • 2024年04月17日

苗半作?。違うな苗八作だな。

皆様、こんにちは。全然アップしないかと思えば結構短期間で掲載される気まぐれな「いちご日記」。
担当のMでございます。皆様、お変わりありませんでしょうか?
 
しかし、今年は暖かい。今朝、日課の散歩をしていたら防霜ファンが回っていました。
3月に防霜ファンが回るなんてお茶も今年は早いのかな?
 
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防霜ファンとは?

防霜ファン 停止中

結構な数が設置されている(静岡市葵区にて撮影 2024/3/23)

農作物に霜害が及ばないように防ぐための送風機。主に茶園や果樹園で使用される。
Mは静岡在住なのでここでは茶園用の機械を指す。お茶の遅霜対策として用いられる。温暖層の暖かい空気を扇風機で茶木に送り込み、霜が下りることを防ぐ。一番茶の季節には遅霜が発生することは珍しいことではなく遅霜が下りると植物内の水分が凍結して細胞が壊れ、死んでしまう。
遅霜が降りた茶園は、薄緑色の新芽が黒く変色する。もちろん、製品にならない。霜害後はその新芽を全て刈り捨てることとなる。よって一番茶は製品とならない=収入にならない。お茶は一番茶の単価がその後の二番、三番や秋冬(しゅうとう)番茶よりも高いため遅霜はお茶農家にとって死活問題である。
ここでは掻い摘んで書きましたが、お茶の話は結構長くなるのでまた別の機会に「おまけ」で詳しく書いてみようと思います。

苗の力

さて本日訪問させて頂いた生産者様は藤枝のTS様です。

時期は3月中旬。暖かな日が続いてこのまま春になるのかと思ったらまた1週間程度寒くなる、その最初の日です。会社のいちごハウスもサイド換気を閉めて出かけてきた。そんな日の午前中です。
ハウスに向かう途中でTS様からメール着信あり。「売店の方にいます。」とのこと。
約束の時間に遅れることなく到着です。
 
私、 「こんちわ。お世話になります。」「いらっしゃい。お茶でもどうぞ。」とTS様。
丁度休憩の時間だったようでお母さまとパートさんと一服中です。
 
休憩の仲間に入れてもらい、お茶まで出してもらったところで即いちご談義です。
 
TS様「会社のいちごはどう?。」
 「おかげ様で一番(果)は遅れましたけど、その後は連続(出蕾)で、今三番です。」
TS様「うちも今三番です。一番遅れたんだけど、追い付いちゃうんだよね。」
 「去年(の作)も花数が多かったんですけど、今作はそれよりも多くてみんな(=社員)も大喜びです。」
TS様「そりゃ、良かった。」
 
お世辞で言った訳ではない。本当の話だ。一番果の収穫は12月の末まで遅れた。前作と比較すると1ヶ月遅れた。
 
TS様「定植後、樹が大きくならなくて心配だったんだけど、根はびっしり張って連続(出蕾)するんだよね。」
 「そうなんだよね。樹が大きくなんなくて、定植後の管理失敗したのかと思って、今年はだめかも。なんて考えたんだけど今までで一番(多く)取れてます。」
 
以前この日記でも書いていますが、人に例えるならば、樹それは地上部を指すのだけれどいわば上半身。根は下半身。やっぱり下半身が強いことが着果数増加に繋がっているように思える。
 
TS様「給液回数は4回?」
 「はい、4回で通そうと思っています。今後は1回の給液量は増やしますが。」
TS様「4回でいけそうだよね。」
 「前々作までは4回と5回でステージに合わせて調整したんだけど、会社のタイマー(設定)面倒くさいんで前作から4回にしちゃいました。」
TS様「いちごの方が合わせてくれるんだよね。」
 「本当です。それも(TS様から譲って頂いた)苗のおかげです。」
 
「あ、あとね2作はやる(定植する)予定だからまた苗の方、お願いします。」と
ちゃっかりと定植苗の予約のお願いをする私なのでした。

本圃へ

「今、(収穫して)少なくなっちゃたから、恥ずかしいよう。」とTS様がおっしゃりながら2人でハウスに入る。

三番果 収穫後

草丈があまり高くない 果茎も短め

「会社のハウスも今、真っ白です。あと10日位(で着色する)かな。」などと生意気なことを言う私。
TS様「ここ(この時期)にきても草丈が低めなんですよ。果茎も短いかな。」
 
確かに。会社の「章姫」も草丈が低い。それは私の管理のせいかと思っていたけど、この圃場の樹も低い。(といっても会社の樹はこれよりも更に50mm程度低いが。)茎も短い。表現としては「がっしり」としているという感じ。
ちなみに2020年2月5日掲載 5年ぶりの訪問その時の圃場の写真と比較してみましょう。

2020年1月中旬撮影 明らかに草丈は高い

果茎の長さは気持ち長い程度か

以前撮影した2020年1月の草丈よりも今年3月の草丈が低いことは歴然。
果茎は同じ位なのか?気持ち今作のほうが短いように見える。
今作での葉面積が大きいことも付け加えたい。背は低いけれどマッチョなのだ。
4月に入れば「章姫」でも草丈は300mm以上350mm程度までは伸びてしまう。
春になって、暖かくなればどの品種も草丈は伸びる。
ハウスの環境=暖房機の設定での違いではない。もし、温度設定を低くして草丈を抑えたとするならば、着果数も減少しているハズだ。
しかし、花数は今作の方が前々作を上回っている。
 
TS様「Iさんが来た時に『樹が小さいよう。』と言ったんです。そしたら、『いや、これでいいんじゃないか。きっと取れるぜ。』て言ってたんです。」
I様とは同じ管内で「アイポット」も「のびのびシステム」も導入された生産者様だ。今はセミリタイアの感じですが、TS様から苗を融通してもらって規模を縮小していちご栽培をされている。
この日記にも2023年6月26日掲載 原点回帰にて初登場。私とは2022年8月にTS様の育苗圃場にて久々(10年振り位)に再会。今後も登場しそうな予感がするから「大井川のI様」にて紹介していく事とします。(旧大井川町の方なので。)

苗作りを重要と考える生産者様は苗や定植直後の樹を見てその年の成績(収量等)を予想される。そして100発100中とまでは言わないがほぼ的中させる。それは自身の経験からくる予想だ。
ああすればこうなる(だろう)。こうすればこうなってしまう(だろう)。位の経験値を持ち様々な試験を自身の手で行ってきたからだ。そして定植後にその樹が大きな変化をしないことを知っている。苗作りの重要性を知っている。
 
私がいちご資材の営業を始めた頃、この管内でJA様が事務局となって生産者様集まり「アイポット研究会」なる勉強会を開いていた。会員の圃場を見学したり時には他JA様の生産者の圃場や栃木にも見学に行ったりした。そして勉強会。前回名前のみ登場の経済連コンサルタントだったS先生や県農林事務所のいちご担当の方から現在のいちごの状況や栽培指導、肥料や薬品、防除方法などを紹介してもらうのだ。私もメーカーの担当として参加していた。大体13:00スタートで会員の圃場見学に出かけることが多いのだが勉強会が終わる時刻は17:00すぎになった。育苗シーズンは毎月1回以上開催していた。
 
「人が見に来りゃ、ちったぁハウスん中も掃除するらでな。」よく藤枝のK様がおっしゃっていた。その表現は冗談気味ではあるけれど、「見に来る。」ということは相当なプレッシャーで会員皆が「見せて恥ずかしくない苗を作ろう。」と真剣そのものだった。
 
その後、「のびのびシステム」が導入され高設栽培を行う生産者様が増加して今度は「高設研究会」も発足した。同様に圃場見学と勉強会を行う組織としてJA様が事務局となって運営されるのでした。人数も増えた。最初はJA様の小会議室で勉強会を行っていたのにそのうち大会議室じゃないと全員が入りきれなくなった。2つの会に属する生産者の割合が高かったことは特筆ものでないかと今でも思う。
このような会があることで生産者様同士の交流が始まる。そして個々に圃場を尋ねるようになって更に切磋琢磨する。
結果としていちごの収量は増え、JAでの出荷取扱量や出荷金額が増加していく。集荷場も新設されたりする。
他のJA様の生産者様との交流も増える。よって、何も営業しなくても弊社の製品の評判は口コミで広がり販売は増加する。本当にありがたいことだ。
昨今の通販だって口コミ気にするでしょ。多少価格が高くたって同じ機能ならば口コミに良いコメントが多い製品選ぶでしょ。
「いちご日記」を書く理由のひとつでもあるのです。

「苗半作」とか「苗八作」と同じように使われる言葉がある。「段取り八部」だ。その表現通り段取りさえできていれば大工仕事であっても「家を形にする仕事」は2分でしかないと言う意味で使われる。
 
いちご栽培において本番は「苗作り」なのだ。定植してからあれやこれ、それは養液濃度や温度管理をいくらいじってみても思うように樹は変化してくれない。
 
「定植が終わるとホッとします。」TS様は言う。もう後はいちごに任せるしかない。そして任せられる苗を作れたからこそ出る言葉でしょう。
 
「やることが摘花(果)位しかないですう。」いや、収穫だってあるんだけど樹に手間をかける必要がなくなる。という意味でしょう。
それは病気もないから防除の回数は減少するし、栽培環境を変えたりする必要もなくなる。収量が増えるとはそういうことだ。
それが当たり前の事として栽培している。
「私は栽培してるって言わない(言えない)んです。だって私は苗を作っていないから。管理してるって会社でも言うんです。」私は言う。
 
そう今作の会社のいちごがいっぱい大きく実るのは全てがTS様が譲ってくれた苗のおかげだからと思っているから。
けどTS様は今作の苗じゃ満足していない。
「なんとなくこんな風に(苗が)なるのか。と思う程度です。」と言う。もっと上を見ているから出る言葉でしょう。素晴らしい。
 
読んでいただいている生産者様がどれほどいらっしゃるのかは分からないです。「何当たり前の事言ってんだ、コイツ。」と思っていただいているなら本望です。
だけど、「何言ってんだ、コイツ?」はよろしくないかもね。

愛しの「章姫」

話題は変わって「章姫」の話へ。
「摘花(果)してやれば(果実は)大きくなる。「章姫」は本当に答えてくれる。」TS様は言う。最も摘花(果)で忙しくなるほど花が咲いてそれも連続出蕾するからこそ言える言葉だ。
同じ苗をいただいているから良く分かる。いや、本当は分かっていない。なぜなら私はTS様の「章姫」の苗でしか本圃での管理をしていないからだ。
TS様から譲ってもらう前年にも他の生産者様からいただいた「章姫」で管理したことが1度だけある。残念なことに苗をいただいた時からモチベーションは上がらなかった。正直に言わせてもらえば「余り物」でしかなかった。ただ価格は格安だった。次作以降は使わなかったけど。
定植後の私の管理も悪かったと思う。その作では機械の故障もあったりしてろくろく収穫できなかった。
 
「章姫」はランナーも旺盛に発生する。病気、特にタンソ病に弱いと言われているがタンソ病に強い品種なんてほぼ無い。てか、いちご育苗期に肥やす(肥料多め)にすれば病気が発生する。痩せれば(肥料少な目)芽無しになる。いちご生産者様なら誰でも知っていることだ。
でもTS様のように今でも「章姫」を栽培している生産者様は全国に存在する。「章姫」の出荷量のピーク時期は1990年代後半から2000年代前半。ピーク時期からはすでに20年程度経過している。けど、こんなに長く生産者様に愛された品種は他にあるのだろうか?
 
今日初めて聞いたのですが「高設栽培の登場と「章姫」の登場は(いちご生産の)革命なんだって、(藤枝の)Kさんが言っていたよ。」とおっしゃった。
私自身、「章姫」の前の「女峰」にチョビっと関わった程度。てか「章姫」以前の品種についてほぼ見ても触ってもいないから断言はできないけど「章姫」はやっぱり凄い品種なんだと思う。
 
「(生産者様は)「章姫」とその後の品種とでどっちが取った(収穫量が多かった)だかね。」TS様がおっしゃる。他の品種が悪いということではない。作りやすさや収量や粒の大きさなど、「章姫」は様々なバランスが取れていた品種なのではないか。

ハウスに併設された直売所に並ぶ「章姫」。
全てレギュラーパック。レギュラーパック、好き。

直売所内の作業場 ハウスから収穫即パック詰めとなる。

このハウスの場所は藤枝駅から約12km離れている。車で30分程度の時間を要する場所にあります。にも関わらず私が滞在している間、お客様はひっきりなしにやってくる。
予約を受けた分は写真とは別に保管していた。予約の内容を書いたメモが壁にいっぱい貼ってある。
お客様はここに着くまでいったい何件のスーパーや直売所をスルーしてきたのか。予約が入るってことはそのお客様はリピーターだよね。
きっとお客様は「章姫」だからと言う理由では買いに来ていない。「おいしいから。」が理由の一番であろうことは容易に想像できる。もちろん価格がお手頃って言うか適正だと思う人も居れば形が綺麗。色が綺麗。それらも理由であろう。
おいしいいちごがTS様の「章姫」だったのだ。
そうだよ、「章姫」はおいしいんだよ。

最高の賛辞

「高設栽培の登場と「章姫」の登場は(いちご生産の)革命」
高設栽培の資材を販売している時、いつも自問自答していたことがある。「こんな高齢の生産者様に販売していいのだろうか?」
正直、70歳近い生産者様にも販売してきた。それも一人や二人ではない。借入金で導入した方は返済が終わる時は何歳になるんだろう。
私自身が還暦を迎え会社員としては最終番を迎えている。「いちご日記」だってこの後20回書くことは無い。50代前半まで持っていた熱い部分は消えている。果たして今から新しいことにチャレンジできるだろうか?
 
「でもね。みんな高設(栽培)入れて(導入して)喜んでいたよ。(想像していたよりも)長い期間現役でいられたって。」
 
ある生産者様が腰を悪くして入院していた。慢性のヘルニアだった。いつも元気な方だったが、入院中に腰が辛くてと嘆いていると人づてに聞いてお見舞いに行ったことがある。でもその後は入院することもなく80歳を超えられた今も元気で旅行なんかもされておられる。土耕から高設栽培に転換した生産者様だ。導入は60歳前後だった。
 
「Mさん達がやってきたことは間違っちゃいないんだよ。」最高のお言葉をいただいた。
 
今現在、いちごに新規就農される方で土耕から入る人と高設栽培から入る人はどんな割合なのだろう。研修先が高設栽培を導入していればきっと高設栽培で就農されるだろう。
企業がいちごで農業参入する場合は私の知る限り全て高設栽培だ。
全くの私見でしかないけれどいちごの高設栽培はいちご栽培のスタンダードになったと思う。
何度も言う。私は土耕栽培を否定したりはしていない。なぜならば土耕を選択する理由がある生産者様は確かに存在するからだ。
どんな品目をどの品種でどんな方法で栽培するのか選択できる自由があることが農業の素晴らしさであるひとつだ。
組織の人間ではない。全て自己責任というリスクを抱えても自由が選べる。私にはそんな度胸はない。
 
高設栽培を導入して良かったと思っている生産者様がいる。その創世記に導入のお手伝いができたことは私にとってはとても大きなことだ。
 
気が付けば2時間も話をしていた。
もっと色んな話をした。夏が暑くて長いから作業時期を微妙に変えてみようかとか。
TS様「アイポットも栽培槽も頑丈すぎるよね。」私「本当ですよ。5年位で壊れてくれりゃ、リピート(販売)で営業も楽できるのに。」
TS様が続ける。「でも丈夫だから私も助かっています。」と。
私の言葉は本心ではない。もし、どちらの製品も5年程度の経年劣化で使用不能となっていれば弊社の信用は無くなっていただろう。
でも30年全然壊れないのもどうなのかなー。と多少は思う。
 
「また来ます。」「また来てください。」おみやげにいちごジャムをいただいた。ありがとうございます。お母さまにも挨拶してハウスを後にする。
 
卒業アルバムを抱えて歩く中学生の集団が車窓から見える。そうか、今日は卒業式なんだな。藤枝のK様の命日も近いな。
そんなことを思いながら会社への帰路にハンドルを切る。

今回のおまけ「農業を取巻く環境 飼料用米」

飼料用米とは?水田を活用して生産できる家畜用の飼料のことです。
現在の家畜飼料としてはとうもろこしが広く使われていますが、飼料用米(玄米)の栄養価はとうもろこしとほぼ同等であり、家畜にとって優れたエネルギー供給源となります。
 
今回は飼料用米について取り上げてみましょう。
前回までで様々な理由により輸入飼料及び飼料原料が高騰していることを述べてきました。
 
カロリーベース総合食料自給率を上げることは国産飼料を増加させるしかない。米をそれに当てるとするならば、現在の約3倍まで生産量を増やすしか方法がない。
【日本農業の現状と未来⑬】第4章:農産物の輸入 その5
 
自分自身がこのようなことを書いています。前回でも触れましたが濃厚飼料は約88%を輸入に頼っているのです。なぜ、自国での飼料調達に動かないのか?不思議でならなかった問題です。
そんな単純な疑問に対して、こんな記事を見つけました。
 
2022年度の水田転作作物の作付意向(6月末時点)をまとめた。前年より増加傾向となったのは、飼料用米が45道府県で最多。作付面積は過去最高だった21年産をさらに上回るのが確実な情勢だ。同省(農林水産省)が転作助成で重視した大豆も31道府県が増加傾向とし、前年から増える見通しとなった。(以下省略)(日本農業新聞 2022年8月1日配信から抜粋。 尚、この記事は現在閲覧できません。)
 
やっぱり、政治も飼料の自国調達に動いていたのですね。自分の無知が恥ずかしくなります。
何らかの働きかけがなければ、上記のようなことが起こるワケがありませんよね。ということは政治が関与していたと考えることが妥当でしょう。
では、どのような働きかけがあったのでしょうか。農林水産省のHPから以下のようなことが分かりました。
 
2012年度に飼料稲に対する補助金制度が見直され助成金額と交付金金額が見直されました。
 
背景にはカロリーベース総合食料自給率を上げる目的があったようです。
(食料自給率については【日本農業の現状と未来③】第2章:食料自給率を参照ください。)

また、下がり続ける生産者米価(主食用米)に対して作物転換を促すための政策でもあったのです。

運賃、包装代、消費税相当額(2014年3月までは5%、19年9月までは8%、19年10月以降は10%、ただし軽減税率対象は8%)を含む1等米の価格である
 
注)米相対取引価格とは:JAグループや集荷業者がコメ卸に販売する価格のこと
  水田活用直接支払交付金は毎年のように見直されています。
  ロシアのウクライナ侵攻や円安による輸入飼料の高騰も飼料用米増産の追い風となった模様。(誰でも予測できる通りです。)

結果として下のグラフのような状況になりました。

飼料用米をめぐる情勢について

2022年度 飼料用米の作付面積は史上最大となりました。その面積は14.2万ha。そして生産量も約80万トンに達しました。
 
水田活用直接支払交付金は飼料用米だけでなく、麦・大豆・飼料作物・WCS用稲・加工用米・米粉用米も対象となっています。
ただし、交付単価は作物によって違い、飼料用米及び米粉用米が最も高いです。
 
注)WCS用稲
  稲発酵粗飼料(イネホールクロップサイレージ、稲WCS)
  稲の穂と茎葉をまるごと刈り取ってロール状に成型したものを、フイルムでラッピングして乳酸発酵させた牛の飼料。

稲WCS

稲WCS

加工用米は、お酒、加工米飯、味噌、米菓等、以下の用途に供給することを目的として生産される米穀であり、生産数量目標の外数として取り扱われる。
 
しかし、このような右肩上がりのグラフの状況は継続するのだろうか?交付金の縮小もしくは廃止があった場合はどうなのだろうか?もしかしたら、一時的な現象で終わってしまうのかもしれない。などと考えてしまいます。
農林水産省のサイト「飼料用米をめぐる情勢について」から、持続するための取り組みや実例が確認できます。是非、見ていただきたいと思います。
 
元々はカロリーベース食料自給率UPのための取り組みだったことは先に述べました。でも、きっかけはきっかけであり、輸入飼料高騰の対策になったことは間違いありません。というか以前から取り組んでいたからこその結果なのです。まだまだ、考えていかなくてはいけないことは一杯あるでしょう。しかし、我が国の農政もそんなに捨てたもんじゃないというのが私の実感です。
 
農業を取巻く環境が厳しい中で農業で畜産を助けていく。素晴らしいことだと思います。
 
いかがでしたか?官民が一体となって今の厳しい状況を打破していこうとする取り組み。また、機会があれば更に深堀していきたいと思います。
 
さて、今回はこれにて終わりです。
だんだん暖かくなってなんか気分もいいよね。Mは春が一番好きかな。でも花粉症の方はつらい時期ですよね。
不定期なので次回がいつなのかのお約束ができません。悪しからず。
では、次回の「いちご日記」をお楽しみに。それでは皆様、お元気で。See you again!

いちご日記の著者:M
農業関連資材の元営業マン(現在は社内いちご農園の管理人)
勤続39年目を迎える還暦男
文章のお手本はハードボイルドの化神 北方謙三 先生
最近の困り事…防除機の不調

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