農業コラム

  • 日本農業
  • 2020年12月14日

【日本農業の現状と未来③】第2章:食料自給率

第3回 食料自給率て何?

師走になりました。年々師走らしさが薄れていくように感じるのは私だけでしょうか。
我が家のいちご(らしきモノ)も着果しました。
今作は頂いた苗がすばらしく、何もしないのにたくさん、花が着いています。
クリスマスには良い塩梅な感じです。楽しみー。

皆様、お変わりございませんでしょうか。
第1回、第2回とあんまりおもしろくない題材で進めてきましたこのコラムも第3回を書いていきます。
皆様が興味を持たれる内容になればいいのですが。


第3回は食料自給率について書いていきます。
食料自給率について詳しく理解されておられる読者の方々は、今回をすっ飛ばしても今後の本コラムを読むにあたっては何の問題もない回です。悪しからず。

食料自給率とは

食料自給率について、農林水産省ホームページでは以下のように説明しております。

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html)

昨今、話題となることはカロリーベース総合食料自給率です。この数値が低いことを問題とすることが多いのです。

日本の食料自給率

では日本の食料自給率の推移を見ていきましょう。

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html)

穀物全体としてはどうしても飼料用が含まれてしまうため、数値が下がってしまいます(表3-1 グラフ3-2)。
後述しますが飼料用とうもろこしは輸入にほとんど頼っている状態なのです。
主食用穀物は米、小麦、大・裸麦のうち飼料用を除いたものという規定です。米のみの自給率は100%に近いのです(後述)。


さて問題のカロリーベース自給率です。
グラフを見ていただければ分かりますが、生産額ベース自給率は緩やかな右肩下がりです。カロリーベース自給率は1970年代から急激に下がり始め2000年ころまで続いています(グラフ3-3)。

日本と世界の食料自給率の比較

日本と世界の食料自給率を比較してみましょう。

出典:農林水産省Webサイト
   (https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/200805.html)

カロリーベース自給率は世界の中でも確かに低いです。しかし、生産額ベース自給率においては極端に低いことはない(グラフ3-5)。

ちなみに国際的な主流は生産額ベース自給率であることも付け加えておきたいです。
カロリーベースによる自給率算出は日本、韓国、台湾などの一部の国が採用しているに過ぎません。

尚、食品自給率について本コラム第1回にて取り上げた農業就業者数や1人当たりの耕作面積の資料のどれとも比例する部分はない。
ではなぜ日本のカロリーベース自給率はこのような歪な数値が発生しているのか?

輸入された野菜や肉が国内供給熱量から省かれることは理解できる。しかし、輸入飼料で育った牛や豚、鶏、卵までもが国内供給熱量から省かれている現実がある。これは日本国内で生産される牛肉のほとんどは国産ではないと言っていることなのです。
また、食べられずに廃棄した食料も分母に含まれる。日本は食品廃棄が年間2,000万トンにも上る。よって必然的に自給率は下がってしまうのです。食品ロス減少が自給率UPに繋がることになるのです。全く訳の分からない話ではないでしょうか。

食料自給率を低く見せることに何もメリットはないと考えるのですが、政治的には何かがあるのではないかと勘繰ってしまいます。
そう考えるのは私だけなのでしょうか?

日本の品目別自給率

次に品目別の自給率について見てみましょう。

出典:農林水産省Webサイト
   (https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html)

極端な結果になりましたね(グラフ3-7)。でも皆様の想像通りの結果ではないでしょうか。
このグラフには表れていないのですが、1993年は記録的な冷夏で米のみならず野菜や果物も軒並み不作でした。40歳代から上の年代の方は覚えていらっしゃると思いますが、タイ米の輸入された年です(「平成の米騒動」)。それまではタイで米を生産していることは知っていても実際に食した体験は、この年が初めてだった日本人が大勢いたはずです。私もその一人です。
その余波は翌年1994年まで続くこととなったのです。

ウンチクはさておき、米やばれいしょ、野菜などは現在でも高い受給率を維持しています。
後述しますが米は作付面積割合が減少しているのに生産量の減少割合は作付面積減少よりも小さいのです。さすが日本農業だなと思います。

麦、大豆については50年前も自給率は低かったのです。

肉類についてもカロリーベース自給率では飼料が輸入されている場合は国産品と見なされないことは前述通り。
そして、日本の食文化に欠かせなかった鯨肉が食べられなくなったことも肉類の自給率が上がらない要因と考えます。
私と同年代(50歳代)以上の方は学校給食でも鯨肉を食べた記憶があると思います。それほど鯨肉は日本人にとってスタンダードな食べ物だったのです。

またその年代以上の学校給食ではパンが主食であった期間が長かったのです。60歳代以上では米飯給食の体験が無い方がほとんどでしょう。米飯給食が導入された時期は1970年代半ばですが、パン給食の時代からカロリーベース自給率が減少していきます。
パンを食べない食文化から給食へのパン導入があり、パン食文化が発生したと考えています。過去があって現在があるのです。政治的にもまた給食の供給事情(人、設備や技術等)にも、その時代の問題を解決していく中で何を給食の主食としていくのか。いかざるを得ないのか。という選択があったと考えています。

第3回はこの辺りで終わりにしましょう。筆者の意見とは違う読者も少なからずいらっしゃると思います。
「ヒトは100人居たら100人違う考え方をする。だからヒトは意思疎通のための言葉を持つ。だからヒトは面白い。」筆者はこのように考えています(スミマセン。自分勝手な言い分で。)。


第4回からは第3章突入です。農作物の生産量の推移から日本農業を見ていきたいと思います。
では皆様お元気で。次回も読んでくださいね。