農業コラム

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  • 2021年02月15日

【日本農業の現状と未来⑦】第3章:農産物の生産量 その4

第7回 食肉・乳製品等の生産量推移及び輸入量について

皆様、こんにちは。
10都府県に対する緊急事態宣言も3月7日まで延長になりましたね。(栃木県は解除です。)発令直後から2月7日での宣言解除は難しいという論調でしたから不自然はありませんが、他道府県への拡大がないだけましなのでしょうか。
再延長になるようなことになればその時は現在より多くの道県に宣言発令されているでしょうし、感染者数も相当な増加現象になっているような気がします。
昨年の緊急事態宣言のような今よりも厳しい制限が要請されることは、私も皆様も避けたいと思っているでしょう。

今回は食肉・乳製品の生産量等の推移とともに輸入についても書いていきます。
食肉は輸入量も同時に見ておく必要があります。

ちなみに今まで見てきた農産物についても、次号以降で輸入について調べた結果を書いていきます。

牛肉

まずは牛肉からです。

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h
   /trend/part1/chap3/c3_02.html)
(以下 ブラフ7-21 まで)

第3回「食料自給率って何?」でも触れましたが、肉類の自給率は50%程度です。
牛肉においては43%の自給率でしかありません。この数値は優しい統計ではありません。
第3回でも触れたようにカロリーベース総合食料自給率で言うところの国内生産量は、畜産物の飼料が輸入の場合には生産量から除外されてしまうからです。2008年産牛肉51.8万トンが10万トン程度になってしまうのです。
飼料については後述致します。また、輸入国については第4章「農産物の輸入」の章にて詳しく書いていきます。

肉用牛飼養戸数は激減です(グラフ7-3)。1980年の水準から見ると2008年は22%まで減少しています。そして集約化となっています。
1戸あたりの飼養頭数は600%=6倍にまで大きくなっています(グラフ7-4)。
生産量についてはほぼ横ばいで年間50万トン程度に推移しています。生産者激減なのに生産量を維持しているとは本当にがんばっているのだなぁと思います。
1990年代から急激に増加した輸入ですが、2001年の狂牛病の影響で一旦、輸入量が少なくなります。とある会社の牛肉偽装事件を思い出した方もおられるでしょう。このころから食の安全について取沙汰されるようになっていきます。
2005年には米国・カナダからの輸入が再開されています。
今後、TPPやEPAの影響が大きく出そうな分野です。

豚肉

1980年と2008年の比較において生産量は88% 生産戸数は5%と大きく減少しています(表7-5)。
よって牛肉と同じように集約化されているのですが、注目すべきは1戸あたりの飼養頭数です。19倍にも大きくなっています。
輸入量は6倍にまで増加。国産と輸入品の比率が同程度となる時が来そうです。

鶏肉

同じく1980年と2008年の比較です。生産量は増加123% 生産戸数は減少27%にまで落ち込んでいます。
1戸あたりの飼養羽数も微増です。
鶏肉は牛・豚肉よりも国産割合が高いことが特徴です(表7-9)。

鶏卵

同じく1980年と2008年の比較です。生産量は増加128% 生産戸数は減少3%にまで大きく落ち込んでいます。
1戸あたりの飼養羽数は激増です。なんと63倍にも大きくなっています(グラフ7-16)。
たしかに小規模養鶏場は減少した印象が強いです。我々が養鶏業者様へ仕事に出向く場合も、門からずっと車で事務所へ向かうことが多いです。その間に幾つもの鶏舎を通り過ぎる事が今は普通の感覚です。
やっと輸入量が国産よりも大幅に小さい品目が出てきました。

グラフ7-16において2005年の数字が極端に小さい原因は、2004年から世界的に流行した鳥インフルエンザの影響と考えられます。ヒトにも感染すると大騒ぎにもなりました(実際の感染例は少ない)。国内においても感染した鶏の殺処分が行われたため、飼養頭数が減少しました。

2020年も鳥インフルエンザが流行り出しました。韓国、オーストラリア、デンマーク、ドイツそして11月には国内での発生が確認されています。現在は14県ですが全国規模にならないことを祈るばかりです。(2020年度の国内での鳥インフルエンザについては第5回の冒頭に記しました。ご参考までに。)

牛乳・乳製品

ここで国内消費仕向量について説明しましょう。
国内消費仕向量=国内生産量+輸入量-輸出量-在庫の増加量(又は+在庫の減少量)
本来ならば第3回「食料自給率って何?」で説明すべきでしたが、聞き慣れない言葉をいっぺんにたくさん使いたくなかったのでスルーさせて頂きました。
簡単に言えば1年間に国内で消費に回された食料の量ということです。ただし、食用以外の飼料や種子に仕向けられた数量も含んでいます。たとえばじゃがいもでしたら生食・加工品・でん粉等のほか飼養の餌や種芋も含むということです。


話を元に戻して牛乳・乳製品です。
1980年と2008年との比較で書いていきます。
国内消費仕向量は142%に増加、特に乳製品向けは182%と大きく伸びています。食の多様化によるものでしょう。
しかし、飲用向けは一旦増加後に減少しています(表7-17)。
減少の要因は学校給食での牛乳の消費量減少が関わっているのではないかと推測できます。少子化により需要減少が起こっても何ら不思議はないと考えます。
飼養戸数は激減です。21%まで減少です。それを補っているのが一戸あたりの飼養頭数の増加です。346%まで増加しています(グラフ7-21)。
輸入量は国内仕向量の増加と合わせる形で大きくなっています。248%まで増加です。

第7回はこのあたりで終わりにしましょう。国内の畜産が非常に厳しいことはご理解いただけたでしょうか。
厳しい理由についてはまだ述べてきていません。
次回は理由の一つである飼料についての数字から見ていきましょう。

それでは皆様、さようなら。お元気で。次回もアクセスして下さい。