農業コラム

  • 日本農業
  • 2021年02月02日

【日本農業の現状と未来⑥】第3章:農産物の生産量 その3

第6回  農作物の生産量推移 じゃがいも さつまいも 果実

皆様、こんにちは。
日本海側や北陸では記録的な大雪で大変なことでしょう。除雪作業中の事故のニュースも聞きます。
何かできる訳ではありません。どうぞお気をつけて作業ください。お大事にしてください。

毎回、冒頭にて時事ネタを書くのですが、このところ新型コロナウイルスの話題ばかりなので本日はちょっと違うこと書きましょう。
日経平均株価ですが令和3年1月13日の終値は28,456円です。1月9日に約30年5カ月以来の28,000円越えをしたことは皆様もご存じでしょう。
でも、そんなに景気が良いとは感じません。それは私だけではないでしょう。
1989年12月29日に株価が史上最高値を記録した頃は本当に景気が良いと感じました。自動車で言うと国産車もスポーツカーや高級セダンに当時の私と同じ20代が乗っていました。光るナンバープレートなんか付けて。(古っ。) 自動車メーカーも売れるから高額な車種を販売していました。
今はどうでしょう?セダンがミニバンへ、スポーツカーがSUVへ、消費者の趣向が変わったにせよ販売の中心は軽自動車やコンパクトカーとなりました。株価は上昇しているけど景気が良いとは感じられない。
経済には疎いのでよく分からないのですが、この状況は不自然じゃないかなと思う今日この頃です。


第6回 スタートはじゃがいもの生産量の推移からです。
まずはデータから。

じゃがいも

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/imo/r1shiryou.html)

作付面積は1955年を100とした場合、2010年は39%まで減少しています。生産量は78%です(表6-1)。
単位面積あたりの生産量は1haあたり1955年13.8t、1970年 22.7t、1995年 32.2t、2010年 27.8tです。
単収の増加理由としては生産工程において機械化が進んだことです。じゃがいもは北海道が生産シェアの約80%です。
1戸あたりの作付面積が大きければ機械化の進むスピードは速くなります。
それでも作付面積は減少しているのです。生産者人口の減少が直結していることは想像に難しくはないのです。

じゃがいもは生食(青果)のみならず、でん粉に加工されたり、またフライドポテトやポテトチップス等の加工食品としても需要が高いのです。
詳しくは本コラム後半での第4章「農産物の輸入」にて記しますが、輸入が増加している農産物なのです。グラフ6-3にもある通り2000年頃からの生産量の減少で輸入せざるを得ない状態になっています。
国内消費仕向量(後述)は国内生産量では賄えないのです。

さつまいも

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/imo/r1shiryou.html)

作付面積は1955年を100とした場合、2007年は11%まで減少しています。生産量は13%です(表6-4)。
さつまいもはじゃがいもと比較して、生食(青果)用や加工食用の数量が少ないことが生産量減少の理由と考えられます。
戦前からの食と戦後の食文化との違いにより上記のような現象が発生したと考えられます。また、安価な海外飼料の輸入も生産減の一因です。
2000年頃から生産量が若干上向いています。焼酎ブームでのアルコール需要の増加が理由です。

果実

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h/trend/part1/chap3/c3_02.html)

表6-7には果実的野菜は含まれていません。よってその他果実とは、なし・ぶどう・かき・もも等をさし、いちご・すいか・メロンは除外されます。つまりほぼ果樹と言えます。

2017年 果物ごとの収穫量

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「作物統計調査」(https://www.e-stat.go.jp/)

表6-10には果実的野菜が含まれています。資料に一貫性がなくて申し訳ありません。

50年前位はみかんジュース、りんごジュースが普通の呼び方でした。今はオレンジジュース、アップルジュースが普通になりました。
生産量の減少と直結しているとは言い切れないのですが、どちらも輸入が増加したことで原料の変化から呼び方が変わった部分もあるはずです。
国産果実は輸入品と直接バッティングする品種は少ないです。(厳密にはみかんジュースとオレンジジュースは別物ですが。)
そのあたりは他の農産物とは大きな違いがあります。

筆者は静岡在住ですので1972年のみかん価格の暴落を肌で感じています。生産過剰とグレープフルーツの輸入自由化によって起こったとされています。
そこから数年は摘果されたみかんの山を見ることは普通でした。みかんは買うものではなく貰うもの。という不届きな感覚は未だに(少しながら)残っています。
しかし、「いちご日記」に登場してくださったいちご生産者様のお一人は「みかんがいい時代にはみかんの収穫の仕事に行くと報酬がみかんびく(茶びくのこと)一杯だったさ。」と言う話をしてくださいました。たぶん重量で10kg程度だろうと推測します。
1970年代より前の時代は輸入果実も少なく、貴重な「甘いもの」であったのでしょう。

茶籠 茶びく

「2017年 果物の収穫量ランキング(表6-10)」に戻って話を続けます。
果実的野菜を除くと、そのほとんどは平地で栽培されていません。中山間地での栽培が多いと感じます。要は山にあると言うことです。
お茶も同じなのですが、中山間地での栽培が生産量減少に繋がることは普通です。
まず、収穫の際の重労働。坂を上ったり下りたり。しかも収穫物を担いでなんて「大好き」と言われる読者は皆無でしょう。私も嫌いです。
そして、機械を導入することが困難。狭く傾斜のある通路(通路があることも少ないが)では機械の搬入・搬出も難しい。
生産者人口も減少しますよね。ずっと書き続けていますが、生産者人口減少=作付面積減少=生産量減少です。


本コラムにて果実を取り上げる回は今回だけとなります。

第6回はここまでとしましょう。
暗い話題ばかりで申し訳ありません。もう少し笑える内容で文章を書けたらいいのですが、題材が題材なだけにシリアスな内容になってしまいました。


次回は肉等についてです。食肉生産における問題点から、それが他の農産物にはどのように関わっていくのかと続けてまいります。
では皆様お元気で。次回も読んでね。

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