いちご日記 
- 2019年10月11日
アイポットを使った夜冷育苗(正式名:夜冷短日処理育苗)
●ちょっと見られないかも
こんにちは。
朝晩は涼しい秋の風が吹いてくれる今日この頃です。
彼岸花がお彼岸に咲いていない年も珍しい。それほど今年の夏は長く暑かったです。
皆様方、お変わりはありませんでしたか。
涼しくなることは嬉しいですが、25度を下回ると嫌なタンソ病が気になる毎日です。
今回は3度目の登場です。静岡市清水区のS様の圃場に伺いました。
なかなか見ることができない夜冷育苗の様子をお届けします。
育苗時であっても夜冷の期間は約1カ月なので時期を逃すと来年まで見れません。
いちご生産全国第4位の静岡県においても今回の規模の夜冷施設はそんなに無いと思います。
S様に写真の掲載をしていいかとお願いしたところ「全く問題ない」と言っていただきました。
本当にありがたいことです。
では施設の写真から…
上段:きらぴ香
下段:章姫
6m間口で3段×2列の施設
これが夜冷施設です。
「夜冷育苗とは夜冷処理施設を利用して日中は太陽の光に当て、夜は低温処理することによって、花芽分化の時期を早くする育苗方法。太陽光に8時間あて、温度を14℃±1℃に保つことにより苗は約20日間で花芽分化を迎える。」ということです。
育苗フローチャート
簡単に説明すると、花芽分化時期が早くなる⇒ 定植時期が早くなる⇒ 収穫が早く始まる。ということです。
素人考えでランナーを切離したら定植すればいいじゃないかと考えてしまうかもしれませんが、花芽がついていなければ果実はできません。プロの皆さんも顕鏡して分化確認してから定植に移るのです。
花芽分化促進の育苗方法は、他には株冷(低温暗黒処理)育苗がありますが、私は静岡県内では見たことがありません。1度、九州で見たきりです。
暗黒処理中の苗の写真、手に入らないかなあ…。
夜冷施設まで導入して冷房機を使ってまで収穫時期を早める理由としては、いちごの販売価格がクリスマスをピークとしての上昇及び下降があるからです。
年内出荷が多ければその作での収穫・出荷計画が早めに立てられます。
また、収穫時期も普通育苗とのタイミングの違いができて収穫時期が重ならなくなるため、作業の平均化ができるようになります。
S様は8月15日から9月15日まで、夜冷施設にて育苗して16日から定植を予定しているとのことでした。
お盆よりもいちご苗なのです。頭の下がる思いです。
夜冷(きらぴ香)全く綺麗な苗です
パネル育苗(きらぴ香)
もちろんS様は普通育苗でパネルも使って頂いています。
切離し⇒パネル設置
パネル上げ
夜冷の次に撮影したかった写真です。
ランナー切離しからパネル上げの作業です。
1年に数日の作業でこれまでに写真撮影できたのは1997年に1回だけでした。
まだフィルム写真だったため劣化してしまい、もうこの日記では掲載する機会はないと思っていました。
私が撮影に来るのを待っていてくれたようです。S様に感謝感謝です。
そして、以前静岡市葵区のK様の回にてランナークリップのことを文章にしました。
今回はその言葉を写真でお見せできます。次のおまけの写真を見てください。
おまけの写真
S様お手製のランナークリップが薄いブルーのものです。
針金(被覆線)を曲げて作られました。
1997年の製作です。その後ランナークリップが販売されました。コンテナ一杯使います。
初めて自家製クリップを見たときは生産者様の知恵に驚くばかりでした。なぜ弊社でランナー
クリップを製作して販売しようと考えなかったのか?やはり未熟者ですね。
S様もそうなのですが、生産者様を訪問して圃場を案内してもらうと「これは日記には書けない」と思うことが多々あります。なぜならそこには生産者様の強いこだわりや探求心が見えるからです。
たった4カ月の間にもその場面には度々遭遇しました。ただの素人が簡単に写真撮って文を書いていいものではないのです。
もっともっと勉強してそのこだわりがチラリと感じてもらえるような文章が書ければいいなあと感じています。
S様、ありがとうございました。
時期的にタンソ病予防の話や天敵の話、更には品種の話など、ここには書ききれないお話を伺いました。奥様、お嬢様も私といろいろお話くださいます。
忙しい中、お手を休めて頂き申し訳なく思っています。お手数かけますがまた寄らせていただきます。
本当にありがとうございました。
次回も育苗現場からお送り致します。
育苗シリーズ最終回になります。スーパーアイポットの使用方法を紹介していく予定です。
お楽しみに…。