農業コラム

  • その他
  • 2020年06月25日

第2回「レタス梱包・出荷作業の改善(構想と図面作成)」

 
作業改善は、知恵じゃないでしょうか?

第2回作業改善コラムです。
皆様、お元気でしょうか。私は第1回のアクセス数が気になってよく眠れない日々が続いてます。(大袈裟)
新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されて1ヶ月以上経過しましたが、今年の夏は海もプールもないトンデモナイ夏になりそう。
子供たちは夏休みも少ないし、ずぅーっとガマンしてきたのに。切ない夏を迎えることになりそうです。

今回、文字ばかり多いので視覚的にはおもしろい記事ではないかもしれません。とりあえずはお付き合いをお願い致します。

本日より作業改善提案を紹介致します。
その前に、改善についてのおさらいをしましょうか。
第1回とは違う言葉で説明してみましょう。
 
改善とは…

 自分・物事・システムを良い方向にかえること。
 
『改善=カイゼン(kaizen)』世界で通用する言葉、つまり、世界中で行われているのです。
”5S”などは改善そのものです。

前回はレタス梱包作業の中での改善したい部分をピックアップしました。
今回はどのように改善していくのかを記していきます。
 

~ まずは構想から ~

1.立ち作業の作業軽減

■疲労軽減マット
同僚の営業マンから教えてもらった「疲労軽減マット」です。
厚さ20mmの発泡ニトリルゴム製のマット。展示会などで何日も説明員としてコンクリートの上に立っていると足がとても疲れるのですが、実際にこのマットを使用すると本当に楽です。
通常の床の場合、体重の負担が地面から跳ね返り、足⇒腰⇒肩と体全体に疲労が蓄積されてしまいます。疲労軽減マットは、この体重の負担を吸収し地面からの跳ね返りの力を減らすことによって疲労を軽減します。
素材は植物油やシンナーなどにも強く、厨房や工場でも使用できます。さらにクッションでありながら復元力も良く、重い物を載せてもすぐに元の形に戻ります。足の冷え対策もでき床面の保護の役割も果たします。
さらに穴あき加工をした商品もラインナップされています。水を使うとマットそのものが浮いてしまいますが、穴あきタイプならば浮くこともありません。

2.詰め作業の効率化と作業軽減

作業員Bさんの座り作業をやめよう。(下図 作業改善前 Before 参照)
座っているから立たなくてはならない状況が発生します。立ったまま作業できる状況にすればいい。前回発見した「レタスコンベヤ」があれば、「レタスストック台」と「レタス梱包作業台」を追加することで立ち作業が可能になり、ラップ掛けしたレタスを1か所に集めておくことができます。

作業改善前 Before (コラム第1回より)

作業改善後 After (作業員Bの座り作業をなくした)

「レタス梱包作業台」は、レタスを詰めやすくするために傾斜をつけて段ボール箱を斜めに置きます。平らに置くとレタスが転がりやすいので詰めるのに時間が掛かってしまうからです。
「レタスストック台」は、レタスコンベヤから排出されたレタスが作業員Bさんの近くまで寄るように下りの傾斜をつけます。枠上にしかレタスが存在しない形状とします。
立ち作業にするメリットとして、箱詰めが終了した段ボール箱を移動する際にも床からのハンドリングではなく腰の高さから移動となりますから、腰への負担の軽減もできます。
這ってレタスを追いかけることは膝への負担にもなります。膝が痛くなることもありません。

3.動線を直線(に近い形)にしたい。

歩数を減らし腰を回転させる作業を軽減します。仮に1日1,000歩軽減できたとするならばその距離は個人差がありますが、700m以上。時間は10分程度の短縮となります。

”立ち作業””動線の直線化” で、空きスペースが増えて空箱ストックエリアや製品ストックエリアの面積を増やすことができます。

これでいかがでしょう。
施主様に構想を説明します。もちろんこの時点で提案書を作成します。言葉だけではなかなか理解してもらえません。絵にすることによってイメージできます。また、疲労軽減マットはサンプルで貸出します。実際に使用して納得して頂くことは何より重要です。

今回は構想が提案に繋がった理由の一つとして、レタスコンベヤが既に存在していたことです。

この機械がなければ畳の上のレタスを立ち作業できる高さに移動するための道具が必要になりました。
ベルトコンベヤ等で代用はできるでしょうがその分の費用が余分に掛かってしまいます。

打ち合わせの中で費用の話が出ることは珍しいことではありません。もちろん設計・見積しなければ正確な金額はお伝えできませんが、我々はメーカーの営業マンですからオーダーメイド品であってもある程度の費用のめどは立ちます。今回は事前にレタスコンベヤの購入価格を施主様から聞いていましたので、レタスストック台とレタス梱包作業台の合計金額がレタスコンベヤを上回ることはないとお伝えします。

実際の案件では提案材料は今回の3点よりも多く提出したりもしますし、進める中で省かれる提案も少なくはありません。提案が認められない場合も多々あります。私の提案も提案書だけで導入に至らなかった事案の数は多いです。

改善の考え方は、「その1歩を無くすこと」 です。この詰め作業を全自動にすることは不可能ではありません。全て機械化してセンサーやエレベーター、ロボットを導入すれば様々な作業が自動化することができます。しかし、そのためのコストや導入する時間は膨大なものになるでしょう。
場合によっては建屋から新築しなければならないことも想定されます。
費用対効果として適正であるならばまた、導入資金に問題が無いとするなら完全自動化が最も良い方法なのかもしれません。
我々はその現場で今一番効果的な提案をしたいと考えています。そのための機材をイレクターを素材として設計・製作します。そこから導入に至るための提案を行っていきます。
 

~ 続いて設計へ ~

施主様からこの構想案で進めてくださいとなったら設計に入ります。
今回、レタス梱包作業台とレタスストック台、疲労軽減マットを導入予定です。
台のフレームはイレクターで製作します。素材については事前にサンプルを提示して了解を得ています。

まずはレタス梱包作業台から設計します。

設計のポイントとして

1.積載できる段ボール箱の数。何種類の階級の箱を置くのか。
2.作業面の高さ
3.斜めにする段ボール箱の角度
4.天板の材質

以上の4つを確認して図面作成・見積を行います。
 
1は、施主様・作業員さん達の意見を聞いて検討します。あまり、大きな作業台を作成するよりは移動が簡単な大きさの作業台とします。こちらの作業場は常設ではないですし、掃除もしやすくするためです。
段ボール箱を多く積載したい場合は複数台の作成とします。

2は、実際にコンテナを重ねたりして作業員さん達の意見で決定します。身長差はあるので背の高い人に合わせ、背の低い人には敷物での底上げで対応することとします。
高さ可変タイプも設計できますが、高さ変更の手間を嫌いました。
使用開始後の高さ変更もイレクター製であるので可能です。

3は、作業員さん達に実際コンテナを重ねた仮の作業台を使用して意見を聞きます。フレームはイレクターで作成しますので、実際の作業を開始してから角度の変更も可能です。

4は、ベニヤや樹脂製の板・ステンレス板・ジュラルミン板など弊社にて用意することができます。
厚さや大きさもご希望のサイズが可能です。今回は板そのものに枠線を描くことが予想され、また寒い時期であること・コストから、ベニヤ板厚さ9mmで決定しました。

レタスストック台の設計においてもレタス梱包作業台とほぼ同じような意見を取り入れ、また仮の台を用意して詳細を決定していきます。

レタス梱包作業台

レタスストック台

イレクターの設計は営業マンが行います。生産者様の直の声を聞き、それを聞いた人間が設計します。
メリットは生産者様の意見が又聞きにならないこと。よって誤解の発生を防ぐことができます。
また、生産者様が一番改善したいことは何なのか。妥協できる部分はどこかなどの生の声を反映させることが可能となります。
現地調査の時点で図面や見積提出の時期・ご発注からの納期を明確にできることなどがあります。

見積と図面の提出を行います。構想時点で作成した提案書の動線部分に図面を追加します。
その他、単体の図面を持って説明のために訪問します。

レタス梱包作業台もレタスストック台もフレームはイレクター製です。パイプは同じものを使用していますが、パイプを連結するジョイントは違いがあります。

レタス梱包作業台は使用過程での作業面の高さや角度の変更が容易にできるようにメタルジョイント(分解式)を使用しました。レタスストック台については変更がほぼ無いと考えられたためプラスチックジョイント(接着式)で作成です。
コストはプラスチックジョイント仕様がメタルジョイント仕様より安価になります。

施主様の了解を得ることができました。

「製作・据付」に入ります。と今回はここまでです。
今回は字が多くて読むことに飽きてしまわれた方もいらっしゃるでしょう。すみません、もう少しお付き合いください。
 
次回は、納入後の状況と作業改善となったのかどうかをお知らせ致します。
作業改善コラムの最終回になります。
引き続きお楽しみください。
では皆様ごきげんよう。

当ウェブサイトでは、お客様の利便性の向上およびサイト改善のためにクッキーを利用しています。
クッキーの利用にご同意いただける場合は、「同意する」ボタンを押してください。
詳細につきましては、クッキーポリシーをご確認ください。

同意する