いちご日記

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  • 2020年03月24日

パック詰め作業

等階級多し

こんにちは、皆様。大分、春めいてきましたね。
コロナウイルスの感染が早く収束してくれたらいいなと思う毎日です。
今回は以前からお伝えしたいと書いておりました、いちごのパック詰め作業をご紹介いたします。


毎度お馴染み、静岡県静岡市のS様の現場からお伝えいたします。本日もよろしくお願いします。
訪問日は2月中旬です。この日は朝は結構な雨が降っていましたが、昼からは晴天となりました。
静岡の最高気温はなんと23℃まで上昇。5月中旬ごろの気温となりました。

まずは圃場の状況から

12月中旬に訪れた時は生育が遅れて収穫量が少なかったのですが(2月11日掲載いちご日記「きらぴ香」登場)、その分を取り返すがごとく鈴なり状態です。1番と2番の間がほぼ空いていません。
この本圃、定植後は防除を1度もされていないとのこと。さすがです。

この状態で本日の陽気。私の相手などしている場合ではないはずなのに、またお時間を頂いてしまいました。本当にありがとうございます。

パック詰め

収穫された「きらぴ香」です。これがパックに詰められていきます。
この時点ではもちろん大きさはバラバラです。

まずはホールパックから。9玉と15玉です。9玉は1玉が50gを優に超します。
ホールパックは大手量販店でも販売力のある店舗しか扱いがないことがほとんどです。どちらかというと果物店(八百屋ではない)で贈答用として販売されることが多いです。
実は取材の終わりころにS様の電話に大手の果実店から、ホールパックを用意できないかと直接連絡が入りました。
このホールパック、2枚で1箱になるのですが、小売店の店頭に並ぶと価格はおそらく1箱3,000円以上になります。いや、4,000円位かな。一般庶民ではなかなか手が出ないかも。どんな方々が購入するのか興味津々です。
電話の向こうでは用意してくれた分は全部買うと言っているようです。凄い。

S様がホールパックを詰めます。
ホール用の果実を選別したあとに、その収穫箱は奥様に渡ります。
奥様は平パックのDX(デラックス)とDX-G(デラックス G)、レギュラーパックの2Lを詰めていきます。
形のあまりよろしくないものも選別します。
1パックの重量が規格以下にならないように計量するため、デジタルの計りも使用します。
写真撮影のため、作業中断させてしまいました。申し訳ないです。

パックサイズ:左からDX、2L、DX-G

DX-G、DXは1段並べです。レギュラーパック(ここでは2Lを指します)は2段詰めです。
デラックス系のパックはレギュラーパックよりも底が浅く、縦横が広くなります。
この平パックは「紅ほっぺ」が導入されたときにできた比較的新しい規格です。
また、「きらぴ香」の段ボール箱もデラックス系は2パック入れ、レギュラーは4パック入れと大きさが違います。
「紅ほっぺ」のデラックス系は段ボール箱には4パック詰めでしたから、「きらぴ香」のデラックスのパックは新規格ということになります。
平パックは白い発泡のシートを敷いた上に詰めていきます。売り場でもすぐに分かります。


静岡で高設栽培が導入された初期は品種が「章姫」でした。いちごの新規就農者様達は、ここでパック詰めの難しさに直面する方が多くいました。研修で栽培については勉強されていても詰めることには慣れていないため、夜なべが続くというお話をよく伺ったものです。


S様はこの日はホールパックも含めて計6種類の規格にて選別、詰め作業をされていました。
まだこれ以外の規格もあります。地域によってその呼び方はいろいろありますが、まず果実1個の重量に規格があり、1パックの重量にも規格があります。
プロの方々は果実1つずつを計量することなくパック詰めを行っていきます。それは経験から既に体が覚えているのでしょう。

「きらぴ香」規格表

いちごは詰め作業が伴う作物です。規格が多くありますが、収穫時になるべく規格が揃う果実を収穫できるように管理します。果実の規格が少なければ詰め作業の時間効率があがります。
そのためには栽培の生育ステージを合わせることをプロの方々は行います。


本圃に入ると畝ごとに何月何日と書いた札を挿している場合があります。定植月日が記入してあるのですが、その苗は採苗の時から同じ時期に成長した苗を定植しています。若苗と少し老化した苗が混在しているのではありません。生育ステージは採苗時から考えられて合わせているのです。まさにアグリカルチャーです。生産者様の熱心さには頭が下がります。

「手間を惜しむとクオリティが下がる。」仕事をしていく上で私はいつもそう考えています。
生産者様の方々の手間の掛け方は本当に見習いたいものです。

出荷までのタイムスケジュール

出荷時間や詰め作業時間を計算して収穫量も調整しなければなりません。
詰めきれない量を収穫した場合、当日出荷できない荷物が発生します。
とは言っても晴天続きや高温などで収穫時期が早まったりすると、予定通りにはなりません。
夜なべをしないと追いつかない、もしくはお手伝いさんを入れないと追いつかない事態が発生します。お手伝いさんも誰でもいいわけではなく、詰め作業の経験がある方、多くは以前にいちご栽培をしていた元生産者様にお願いしております。
好天が続いても良いだけとは限らないし、曇天や冷害ももちろん厄介なことです。
今作も昨年の台風で影響を受けた生産者の方々が大勢いらっしゃいます。自然を相手にするということは本当に大変なことです。

詰め作業完了

詰め作業が完了した「きらぴ香」

「きらぴ香」がきれいに詰められています。
皆様の中にはいちごを買うときに、詰め方がきれいなパックを選ぶことが多いと思いますが、それは間違いではないです。私の知る限り、詰め作業の綺麗な生産者様は栽培においてもその仕事は丁寧です。

お話を伺っている間、収穫箱の中のいちごをちょびっとつまみ食い。
甘いだけじゃないんだよな。味に深みがあるというか。上手く表現できないことがもどかしい。実の食感から種が残って、そのツブツブ感がまた楽しい。口の中にはいちごの風味が残って、少しずつ消えていく。


今年度、我が家のハウスで300株程度いちごらしきモノを作っている人間が偉そうに言うのもおこがましいのですが、甘くすることは不可能ではない。特に少量の栽培面積の場合、養液量や温度の管理が生産者様の広いハウスよりもコントロールしやすいです。
我が家のハウスも温度を低く管理して給液量を減らす。更に摘果すれば果実も大きくなるし、甘みも増すことは体験しました。
だけれどもコクがでない。多分、私が作る果実はいつまでたってもいちごみたいなモノでしかないのだろう。それは来年もその次も同じなのだろうと思います。
なぜなら本気でないから。全ての中心がいちご作りになることはないから。

日記に登場していただいている生産者の方々は毎日いちごを見ています。私が伺っても話題はいちごのことばかり。20年来のお付き合いですから、世間話なども少しは挟むけれど大半はいちごの話なのです。
本気度が全く違う。出来た作物が別物であっても不思議はないでしょう。

S様、奥様、お嬢様、本当にありがとうございました。忙しい最中にも関わらず、いつも笑顔で私を迎え入れてくれます。感謝の言葉もございません。
S様、帰り際「あと1回寄れるか?」
私「うーん。寄りたいとは思っているけど・・・。」
S様はこの日記を読んではいない。けれども、日記の終了が近いことを察している様子。
でも、日記が終わっても寄るしね。仕事じゃないほうがむしろ楽しいかも。
「ありがとうございました。」と私。
「また、来なー。いつでもいいし。」とS様。
今日もまた2時間も滞在してしまった。素敵な時間はいつもあっという間に過ぎてしまいます。

次回予告

私が書き始めて約10ヵ月間続きましたこの「いちご日記」、次回最終回です。
最後はやはり、一番お世話になったあの方の圃場よりお伝えいたします。
それでは皆様、もう一度お目に掛かりたいと思います。バイバイ。