いちご日記

  • 2020年02月25日

5年ぶりの訪問

やっぱり、「章姫」が好きだ。

暖冬と言われているこの冬。冬らしい日も長くは続かないです。春も遠くないのかな。
新型コロナウイルスの感染拡大が気になります。マスクも入手困難で困りますね。うがい・手洗いで相当防御できるそうです。インフルエンザ対策にも良さそうなので自己防衛しましょう。


今回は「いちご日記」紅ほっぺの回で5年ぶりに再会しました静岡県藤枝市のいちご生産者TS様の圃場を紹介していきます。
訪問した時期は1月中旬。例年ならば1番の終わりになるはずです。

懐かしい道を車で走っていくと、TS様のハウスが見えます。
おぉ、横には直売所が建てられているではないですか。以前は無かったよなぁ。
訪問の約束を電話でする時にTS様「いつでもいいですよ。何時でもいいです。ハウスの横の直売所でいちご詰めてますから。」とおっしゃっていました。立派な直売所です。

「章姫」です。あまーい。

TS様の直売所にて販売中のいちご

スーパーでもこの形で販売していますが、パックに綺麗に詰めることは素人にはできません。
詰め直しは果実を傷めてしまいます。場合によっては出荷ができなくなることもあります。
このパック詰めに一番時間が掛かると新規就農された方々はよく言われます。


この日記に登場して頂いた生産者は皆様、私よりも年長でした。今回のTS様は唯一私よりも若い生産者です。今年で20回目のいちご栽培とのことでした。高設栽培導入からは17~18年経過しているはずです。初めてお会いしてから約20年の時間が経過しました。

早速、ハウスへ

直売所に入っていくと、「よく来てくれました。早速、ハウスへどうぞ。」とTS様。
では。

「1番はもうすぐ終わりです。」とTS様。
いやいや、鈴なりです。じゃあ、先週あたりはどんな具合だったんだ?

一言、「スゲー。2番果つながってるじゃん。花が空に向かってる。」と私。
TS様「今作よりは前作の方が良かったです。」
私「マジかー。」

TS様は今季、2万本の苗を定植されました。品種は「章姫」のみ。
夜冷はなし。過去は夜冷育苗も行っていましたが、今は早期出荷よりも12月中旬、クリスマスの前に合わせているとのことでした。
夜冷の場合、どうしても採苗から定植までの期間が長くなってしまいます。
TS様は若い苗を定植したいと考えて夜冷を辞めたとおっしゃいました。

太いクラウンです。育苗時に葉掻きをしっかり行って、太いクラウンの苗を作っています。
強い苗を作り、定植後にしっかりと根張りをさせて強い樹を作ることによって、大きな果実を多く収穫できるようにするとのお話でした。

「あら、お久しぶり。」とお母様。「本当、久しぶりだね。」とお父様。お元気でいらっしゃった。うれしい。なんか、涙出そう。
生産者様は家族経営です。ですから、通っていればご主人様のみならず、ご家族の方とお話しする機会は多くなります。それは今までの「いちご日記」を読んでくださっている読者様なら理解していただけると思います。
お会いできなかった間にはいちご栽培を辞められた方、それよりももうお会いすることのできないところへ旅立たれた方もいらっしゃいます。こうしてお元気にお仕事をされてると本当に嬉しい。
私のことを覚えてくれていたことも、もちろん嬉しい限りです。

栽培に使用していただいているプランターは弊社製GFT-17です。
「のびのびシステム」のマニュアルでは1プランターに16本定植ですが、TS様は圃場の日当たりの関係で13本にしています。
それでも、先程の写真の内容です。栽培がうまくいっていなければ株間の隙間が見えるはずです。
2番果の花が咲いています。いちご栽培で難しい問題の一つに収穫の間を開けないようにすることがありますが、この圃場、見事です。
「1番は2Lから上のサイズしか収穫してません。L以下はありません。」とTS様。もちろん摘果はしていますが、それにしても見事。腕を上げたなぁ。


TS様はずうーっと「章姫」。この品種に飽きないと言っておられた。他の品種ももちろん試験はしているし、否定もしていません。「章姫」が好きなんです。そして、今作でも出来栄えに満足していない。
難しいから面白い、ともおっしゃってた。

最近では摘果しない、樹の力に任せて栽培する。と言う生産者様もおられます。
どの方法が最善なのかは栽培している生産者様が決めればよいこと。いちごは手を掛けてあげればそれに答えてくれると私は思っています。
いちごのみならず現在栽培されている農作物は人の手により品種改良されてできた物です。原種でない限りは自然のままであることが不自然なのではないかとも考えてしまいます。

「基本に忠実に栽培しています。」とTS様。
初心を忘れず、大先輩の方々のいちごを見ていつかはそれと同じくらいのいちごを作れるようになりたいと思われたから、今日があるのでしょう。


以前にも書きましたが「章姫」でアイポットが普及して高設栽培にも繋がりました。たくさんの資材を購入して頂きました。静岡県で「章姫」のブランドが確立したから、JA様のいちご集出荷場の施設も手掛けさせて頂きました。(製品一覧 コンベヤシステム参照)
私はやっぱり「章姫」が一番好きだ。

いろんな話をTS様とお父様としました。
鈴なりのいちごを見ながらTS様、「でも昔はみんなこんな感じだったよね。誰の圃場に行ってもガンガンいちご付いてたよね。」と15年程前の生産者巡回のことをお話ししました。
この管内ではアイポットと高設栽培の研究会を立ち上げて1ヵ月に1度は巡回と勉強会を行っていました。県下各地区のいちご栽培に活気があって、中部のみならず東部や西部の生産者や各関連機関の方々と交流を持ちました。いろんな圃場を見学しましたし、九州や栃木まで足を伸ばして勉強にも行きました。
余談ですが栃木の農業試験場に見学に行った際、生まれて初めてかんぴょうの実を見ました。栃木県はかんぴょうの生産量が全国一位で市場の99%のシェアを誇っています。全国一位はいちごだけではないのでした。

いちご栽培の活気があった昔を懐かしむだけではなく、その時の気持ちを忘れない姿勢。
それは農業だけでなく全ての仕事において必要なことであるということを改めて認識させていただいた1日となりました。

収穫した「章姫」

形が円錐形できれいなところも好き。
「とちおとめ」などを見慣れている方々には色がオレンジに近いと違和感を持たれることもあるようですが、私はこの色が好きです。

天敵の使用

TS様は天敵も使用されています。

写真は見にくいですが天敵が入っている容器です。
チリカブリダニが入っています。チリカブリダニは、餌となるハダニの成虫と幼虫、そしてハダニが産卵した卵も捕食します。天敵の放飼数量は定植した苗の本数から割り出していきます。
また、チリカブリダニ自身も産卵します。すなわち、放ったチリカブリダニが死滅して終わりではなく、その子や孫も仕事をしてくれるのです。いいことばかりのように感じますが、ダニですので殺虫剤によっては天敵自身が死んでしまいますので使い方には注意が必要です。
ミツバチも同じように子孫を残してくれますが、やはり防除には気を使います。

私「これ、HPに載せるね。」TS様「えー。恥ずかしいよう。」私「だめ。載せます。」ということで問題なく掲載の承諾を頂きました。

TS様、お父様、お母様、ありがとうございました。5年ぶりの訪問にも関わらず快く迎え入れて頂き、圃場の説明もしてくださいました。仕事の手を止めてしまったこと本当に申し訳ありませんでした。
帰り際、「また寄ってくださいね。」とTS様。私「はい。また来ます。」お父様まで見送ってくださいました。本当にありがとうございます。

「いちご日記」の連載も終盤です。あと何度寄れるだろうか。
別に取材でなくてもいいんだよな。近くに温泉もあるし休みに寄れば全く問題なしだよな。
そんなことを考えながら帰社します。今日も楽しい時間を過ごさせて頂きました。

次回予告

こんなに素晴らしい圃場を見ると「我が家」のいちごは恥ずかしくてちょっと掲載できないよね。
暖かくなった頃には載せられるかな。

なので次回は久々に登場のあの方の圃場のご紹介です。これまで2回訪問した時の状況をお伝えいたしましたがその時に書けなかったことも含めてご紹介いたします。
私個人的には激熱内容と思える次回、今までほぼメディアでは紹介されていない内容です。
乞うごご期待ください。それでは、皆様またお会いしましょう!